シンガポールの南洋理工大学(NTU)は6月16日、同学のヘイロン・サルレ(Hairon Salleh)准教授がまとめた、変化し続ける世界で活躍するために生涯学習が重要である理由について公表した。
(出典:NTU)
不確実な時代において、生涯学習は、社会と経済に課せられた刻々と変化する要求に応えるために不可欠な習慣だ。生涯学習を促進するためには、社会人が自分の仕事やキャリアに関連する新しいスキルをいつ、どのように学ぶかという柔軟性が鍵であり、社会人が受講しやすいサイズの継続教育コースが求められている。
そこでシンガポール政府は、短期継続教育コースを通じて新たなスキルを学ぶ機会を提供する国家的イニシアティブでありプラットフォームのSkillsFutureを設立した。このコースの焦点は、科目内容の習得、批判的探究能力の習得、イノベーションの推進に必要な好奇心の育成を通じて、成人学習者の仕事のパフォーマンスとキャリアの可能性を高めることにある。
さらにNTUの専門生涯教育センターは、社会人の仕事と学業の両立を支援するため、国立教育研究所(NIE)と協力し、FlexiMastersと呼ばれる幅広いマイクロクレデンシャルコースを創設した。このコースは自分のニーズやスケジュールに合わせて学習経路を計画できるため、多様で新しい分野の新しいスキルを学ぶことが可能となる。
また、NIEの修士課程プログラムは理論と専門的実践を結びつけるように開発されており、修了生がグローバルな市場において適切な存在であり続けることを支援している。例えば、NIEとNTUのリーコンチアン医科大学(LKCMedicine)とのパートナーシップは、教育学と神経科学分野の連携を行うことで、科学修士(学習科学)プログラムにおける批判的な科学的議論を促進している。
急速に進化する世界では、大学院教育と生涯学習の境界線が曖昧になっており、もはや生涯学習は、学問的な論文を追い求める一部の人たちのためのものではなく、新しい世界秩序の中で生き残り、繁栄するために必要な知識、スキル、気質を求め、身につけたいと願う多くの人たちのためのものだ。米国の実業家アルビン・トフラー(Alvin Tofler)氏の「学び、一度リセットし、学び直す」という言葉は重要な教訓となっている。大学院教育や継続教育に関する新たな取り組みは、生涯学習に対する考え方を一変させようとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部