タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は6月12日、英国の研究機関と協力し、エビの養殖や養豚に関するバイオテクノロジー製品の開発に成功したことを発表した。
(出典:NSTDA)
記者会見は6月7日に行われた。タイは世界の主要な食糧生産国の1つであり、特に水産養殖と畜産が盛んだ。世界的な食糧需要の増加に伴い、英国のような先進国と研究・技術移転で協力し、動物衛生技術の能力を高めることは戦略的な動きである。この研究協力では、タイの国立遺伝子生命工学研究センター(BIOTEC)、モンクット王工科大学トンブリ校(KMUTT)、英国のケント大学とユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)が協力体制を構築し、1億7000万バーツ以上の助成金を調達している。
その1つがケント大学、UCL、BIOTECが英国王立協会からの研究助成を受けて行った微細藻類をベースとしたエビ病害防除プラットフォームだ。タイのエビ産業はバクテリアなどによる病気の大発生に見舞われ、生産量の60%もの損失が発生している。BIOTECチームのリーダーであるヴァンヴィモン・サクスマープロム(Vanvimon Saksmerprome)博士は、「エビ用飼料サプリメントとして、抗ウイルス二本鎖RNA(dsRNA)を発現する微細藻類を開発しました」と説明した。飼料試験の結果、エビはウイルスにさらされた後も70%の生存率を示し、この技術がタイや東南アジア諸国連合(ASEAN)各国のエビ養殖業者のウイルス病管理に役立つことが証明された。
2つ目は、Global Challenges Research Fund(GCRF)やニュートン基金から資金提供を受け、ケント大学、UCL、ロンドン大学、KMUTT、BIOTECが連携し行った、タイのバイオ医薬品と動物用ワクチン製造のインフラと労働力を強化するプロジェクトだ。タイの養豚業は、常にウイルス性疾病の影響を受けているが、タイではワクチンのほとんどを輸入に頼っている。
BIOTECチームのリーダーであるピーラ・ジャルアンポーンパン(Peera Jaruampornpan)博士は、「研究チームはブタサーコウイルス(PCV)2の亜種のワクチンプロトタイプを開発し、30L規模の生産に成功しました」と報告した。将来的に広範な動物用治療薬として使用される組換えインターフェロンの生産プラットフォームを開発するための研究も行われている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部