シンガポール国立大学(NUS)は6月16日、シンガポールにおける先進的な太陽電池(PV)技術のイノベーションと研究を促進するために、NUSの太陽エネルギー研究所(SERIS)とRECソーラー社(REC)が、REC@NUSコーポレートR&Dラボラトリー(REC@NUS Corp Lab)を共同で設立したことを発表した。
REC@NUS Corp Labの設立には7700万シンガポールドルが投資された。この戦略的投資は、シンガポールのRIE(Research, Innovation and Enterprise)2025計画の一環だ。高出力クリーンエネルギー・ソリューションへの戦略的投資は、より環境に優しい未来のために再生可能エネルギーへの移行を加速し、PVの研究開発と製造におけるシンガポールの主導的地位を維持するために重要なものと位置づけられている。
REC@NUS Corp Labの研究者ら
(提供:NUS)
REC@NUS Corp Labでは今後5年間にわたり、ペロブスカイト・シリコン・タンデム太陽電池をベースとする破壊的なPV技術の研究、開発、商業化に取り組む。現在商業化されている最高クラスの太陽電池のエネルギー変換効率は24〜25%ほどだが、REC@NUS Corp Labではエネルギー変換効率30%の大面積ペロブスカイト・シリコン・タンデム太陽電池技術の実証と産業界への導入促進を行う予定だ。
研究所の設立式に出席したシンガポールのヘン・スイキャット副首相兼経済政策調整相は、「太陽光発電が再生可能エネルギーの中で最もスケーラブルで有望な形態な1つであることを考えると、この研究所の設立は時宜を得たものです。REC@NUS Corp Labの活動が世界的な気候変動対策を加速させるゲームチェンジャーへの道を開くことを期待しています」と語った。
NUSのタン・エン・チェ(Tan Eng Chye)学長は「REC@NUS Corp Labとして花開いたNUSと産業界の戦略的産学パートナーシップは、太陽光発電の飛躍的な発展のために両者の補完的な強みをさらに強化し統合することになるでしょう。RECとNUSは、大面積低コスト太陽電池のエネルギー変換効率30%の壁を超える技術的ブレークスルーを達成し、都市化されスペースに制約のあるシンガポールでの太陽光発電の普及を加速させるものと確信しています」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部