2023年07月
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IoT・AI活用、パイプラインを検査する新技術―シンガポールで革新的なスタートアップ集結

シンガポール国立大学(NUS)は6月7日、NUSのインキュベーション事業であるNUS Enterpriseが、インフォマテック(Informa Tech)社とイベント「InnovFest 2023」を共同で開催したことを公表した。このイベントでは、スタートアップの創業者や業界の専門家が一堂に会し、イノベーションのトレンドについて意見交換を行った。気候、食糧安全保障、グリーンエネルギー、健康、インダストリー5.0をテーマとし、約100社のNUSのスタートアップ企業が参加。以下、注目のスタートアップを紹介する。

ソイナジー(Soynergy)社

NUS食品科学技術学部の卒業生であるリン・ジン(Lin Jing)氏が共同代表を務める。おからを再利用したプロバイオティッククッキーを発売し、ビール醸造用の使用済み穀物など、他の副産物への展開も視野に入れている。腸の健康や消費者の幸福追求にとどまらず、食品廃棄物の削減と持続可能性の推進に強くコミットし、食品製造業を廃棄物ゼロのモデルへと変革することを目標としている。

共同代表を務めるリン・ジン(Lin Jing)氏(中央)ら

セリベイト・テクノロジーズ(Cellivate Technologies)社

NUSの卒業生であるヴィクニッシュ・クリシュナン・クッティ(Viknish Krishnan-Kutty)博士によって設立された。同社は細胞の成長を促進する特許取得済みのナノテクノロジーソリューションの開発・販売に注力している。動物細胞を付着させ、加速度的に成長させることができる薄いコーティングを作成し、その主な用途として培養肉の生産を挙げている。食糧増産と従来の家畜飼育による環境負荷の低減という課題に立ち向かっている。

創設者のヴィクニッシュ・クリシュナン・クッティ(Viknish Krishnan-Kutty)博士(後列、左から2人目)ら

テレド・アナリティクス(Teredo Analytics)社

NUSの卒業生であるリャン・ジー・ウォン(Liang Jie Wong)氏らによって設立された。パイプラインを検査するための革新的なソリューションを提供している。環境音響解析、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)を活用し、パイプラインの異常を検知するリスナーや、パイプ内を移動できる装置のプロトタイプを開発した。配電網における水の損失は、世界中の公益事業者にとって大きな課題の1つだ。

創設者のリャン・ジー・ウォン(Liang Jie Wong)氏(左端)ら
(提供:いずれもNUS)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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