タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は6月26日、地域農業イノベーションネットワーク(RAIN)の立ち上げイベントを6月21日に開催し、気候スマート農業の実施に関して関連機関との間で了解覚書(MoU)に締結したことを発表した。
米国農務省が資金を提供し、米国のウィンロック・インターナショナル(Winrock International)が実施するRAINは、タイと東南アジアにおける生産性の向上、環境負荷の低減、貿易の拡大を目的とした気候スマート・イノベーションの導入を促進するために、地域気候ハブを設立するものだ。
RAINのチーフ・オブ・パーティーであるウィリアム・スパークス(William Sparks)氏は、「RAINによって2027年までに3万戸の農家が気候変動に配慮した生産方法を導入し、7万6000トンのCO2削減を実現します」と発表した。このプロジェクトは、コメ、キャッサバなどの経済作物に焦点を当て、気候変動に配慮した生産手法や気候変動に配慮した農林業に関する研究を紹介するものだ。
(出典:いずれもNSTDA)
イベントでは、ウィンロック・インターナショナル社と、NSTDA、タイのデジタルエコノミー推進庁(DEPA)、CPS農業(CPS Agri Company Limited)社、ハームレス・ハーベスト(Harmless Harvest Company Limited)社、東南アジア農業研究センター(SEARCA)の5つの組織との間でMoUへの調印が行われた。
チュララット・タンプラサート(Chularat Tanprasert)博士は、NSTDAがRAINプロジェクトに貢献できるさまざまな活動を実施していることを紹介した。
1つ目は、2004年以来、NSTDAの国立遺伝子生命工学研究センター(BIOTEC)がカセサート大学と共同で、実施しているメコン地域のための分子イネ育種プログラムだ。2つ目は、NSTDAの国立電子コンピューター技術研究センター(NECTEC)の事例だ。同組織にはスマート農業をサポートする技術やイノベーションを開発する30人の研究者チームがあり、農場のモニタリングと管理のためのIoTベースのセンサーデバイスや、意思決定支援システムAgri-Mapなどを開発している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部