2023年08月
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初の燃料電池研究開発・試験センターを開設 フィリピン

フィリピン科学技術省(DOST)は、産業界への基礎・応用研究および技術開発に関する支援提供を目的とした、国内初の燃料電池研究開発(R&D)・試験センターを開設した。国営フィリピン通信社(PNA)が7月6日に伝えた。

センター落成式の模様
(Screenshot from Facebook live)
(出典:PNA)

DOSTの敷地内に位置するこの施設は、燃料電池技術の研究開発を行うためのもので、特定のセル部品の材料開発と技術革新に重点を置いている。

DOST-産業技術開発研究所(ITDI)のアナベル・ブリオネス(Annabelle Briones)所長は、「DOSTは1,390万フィリピン・ペソ、エネルギー省(DOE)は3,800万フィリピン・ペソをこのプロジェクトに提供しました。DOEは資金提供の他、燃料電池のプロトタイプの設計と実証のための情報、教育、コミュニケーションを担当しています」と語った。

また、落成式でDOST事務次官のリア・ブエンディア(Leah Buendia)氏は、「燃料電池技術を活用することで、現在高価なディーゼル発電機に頼っている何百万人ものフィリピン人のエネルギーアクセスと安全保障を大幅に改善することができます。さらに、化石燃料の燃焼に起因する温室効果ガスの排出や大気汚染の削減に役立ちます。これらの問題に取り組むことで、気候変動の影響を緩和し、大気の質の低下に伴う健康問題の軽減につながります」と燃料電池技術の利点を強調した。

落成式のテープカットを行ったDOST事務官のレナト・ソリダム(Renato Solidum)氏は、「DOEが燃料電池技術における水素製造と利用のロードマップを作成したことで、燃料電池研究開発・試験センターの将来は大きく前進することになります。DOEはまた、DOST-ITDIが提案する、地元で生産された水分解用電解電池を使用したグリーン水素製造プログラムを全面的に支援することを約束しました。このプログラムは、我々の専門知識、資源、ネットワークを活用することを可能にし、包括的でインパクトのある研究開発を保証します」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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