2023年08月
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フレキシブル・デバイスの3Dプリントが迅速・容易に―マルチマテリアル・プリンターを開発 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)の研究者らが、フレキシブルなデバイスを素早く簡単に3Dプリンティングできる多波長高出力レーザーを備えたマルチマテリアル・プリンターを開発した。6月28日付け発表。

ムルケシャン・ヴァダッケ・マサム(Murukeshan Vadakke Matham)准教授(左から4人目)ら研究チーム
(出典:NTU)

NTUのシンガポール3Dプリンティングセンター(SC3DP)とパナソニック・ファクトリー・ソリューションズ・アジア・パシフィック(Panasonic Factory Solutions Asia Pacific Pte. Ltd.)社(Panasonic)の研究者らにより、この開発が行われた。

このマルチマテリアル・プリンターは、さまざまな波長のレーザーを利用して熱反応と化学反応を起こし、一般的な炭素系材料(ポリイミドと酸化グラフェン)を新しいタイプの高多孔質グラフェンに変換する。この新しいグラフェンを印刷した構造体は、軽量で導電性を持ち、プラスチック、ガラス、金、布などのフレキシブル基板に印刷またはコーティングし、フレキシブル・デバイスを作ることができる。電子機器や電子部品は従来、金属、シリコン、セラミックなどの硬い材料で構成されてきたが、曲げたり、ねじったり、さまざまな表面に簡単に適合させることができる柔軟なウェアラブル・エレクトロニクスの開発に関心が高まっている。

NTUの機械・航空宇宙工学部(MAE)およびSC3DPの共同リーダーである、ムルケシャン・ヴァダッケ・マサム(Murukeshan Vadakke Matham)准教授は、「私たちのプロジェクトは、有機ポリマーやグラフェンといった炭素系材料のような新素材を3Dプリントする方法を見つけることを目的としています。これらの材料は、プラスチックや布地のような柔軟な基材にプリントしたりコーティングしたりすることができる特性を持っており、柔軟で伸縮可能な回路を作ることができます」と成果について語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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