2023年08月
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新型コロナに対応、患者隔離のためのイノベーションを発表 タイ

タイ国立科学技術開発機構(NSTDA) は、NSTDAの国立金属材料研究センター(MTEC) が4つの研究機関と共同で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応して開発した患者隔離のためのイノベーションに関する公開セミナーを開催した。7月10日付け発表。

本セミナーは7月3日に開催され、MTECとタイ科学研究・イノベーション(TSRI) 、保健システム研究所(HSRI) 、タイ国家学術調査委員会(NRCT) 、生命科学研究所(TCELS) の4つの研究機関が共催した。セミナーでは、MTECが開発したPETE(患者隔離輸送室)とHI PETE(在宅隔離用患者隔離室)という2つのイノベーションに焦点が当てられた。

PETEの開発はCOVID-19の第1波に対応して2020年2月に始まった。陰圧チャンバーとなっており、感染性の呼吸器系患者を搬送したり、X線装置やCTスキャナー使用の際に空気中の病原体感染を防いだりする構造となっている。HSRIとTSRIからの助成金により、装置の性能と安全性のテストが行われ、医療機器基準への適合が確保された。この技術はスープレラ・イノベーション(Suprera Innovation)社 に譲渡され、タイのFDAに登録された。さらにNRCT、マティチョン(Matichon)社、バンコク・エクスプレスウェイ・アンド・メトロ(Bangkok Expressway and Metro)社 からの資金援助により120台のPETEが製造され、全国の病院や組織に納入された。

HI PETEはPETEのノウハウとHSRIからの資金援助に基づき、COVID-19患者の自宅や野外病院での隔離をサポートする陰圧テントとして開発された。PETEと同様、HI PETEも品質・安全基準への適合のために広範なテストを受けている。

(出典:いずれもNSTDA)

HSRI常務理事のノッポン・チェンクリン(Nopporn Cheanklin) 博士は、「HSRIの研究開発助成プログラムは、公衆衛生システムに利益をもたらすイノベーションを可能にすることを目的にしています。この2つのイノベーションは国内で製造可能で、目的に完全に合致しており、国の健康危機を克服する一助となるでしょう」と述べた。PETEとHI PETEは、COVID-19以外にもインフルエンザや結核など、空気感染するあらゆる感染症に適用が可能だ。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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