シンガポールで太陽光発電に加え、クリーンエネルギーの安定供給源となり得る重要な地熱資源の存在が明らかになった。同国の南洋理工大学(NTU)が7月18日に公表した。
アレッサンドロ・ロマニョーリ(Alessandro Romagnoli)准教授(右端)ら関係者
(出典:NTU)
NTUと、大学や政府系機関の支援で運営されるタムクリエイト(TUMCREATE)社が、政府所有のコンサルティング会社であるスルバナ・ジュロン(Surbana Jurong)社と共同で実施したこの研究は、シンガポールにおける地熱の可能性を探るもので、シンガポール国立研究財団(NRF)とエネルギー市場監督庁の支援を受けている。
NTUのアレッサンドロ・ロマニョーリ(Alessandro Romagnoli)准教授とタムクリエイト社のトビアス・マシエ(Tobias Massier)主任研究員は、センバワン温泉に近いアドミラルティ・レーンで地下1.1kmまで細い試掘孔を掘削した。シンパン花崗岩として知られる下層の岩石コアサンプルと、異なる深さでの岩石温度を分析した結果、研究チームは、アドミラルティ・レーンの地熱サイトは、深さ4~5キロ、あるいはそれ以上の深さで摂氏約200度の温度を持つ可能性があると推定した。これは他の多くの非火山地域の深さで発見された岩石の温度よりも高く、地域冷房、電力、水素生成などの用途に有用である。
研究チームはまた、シンパン花崗岩は、火山近辺の従来の地熱地帯で見られるものを除けば、世界平均の2倍という高い熱流量を持っていることも発見した。これらの発見は、資源の乏しいシンガポールで、多くの人が思いもよらなかった新しい再生可能エネルギー資源につながるかもしれない。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部