タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は8月9日、NSTDAの国立金属材料技術研究センター(MTEC)の食品材料研究チームが海産物の肉の食感と味を模倣した新しい植物性代用肉の開発に成功し、Ve-Seaとしてブランド化したことを発表した。
シーフード市場における植物性代用肉は2021年から2022年にかけて14%成長し、2022年から2029年にかけては28.5%の成長が見込まれている。しかし、食感の再現が難しいため、植物性代用肉市場全体の1%のシェアしかない。シーフード市場における植物性代用肉には大きな需要が見込まれている。
Ve-Seaは、消費者の需要を満たすことだけでなく、起業家への技術移転の機会も狙って開発が行われた。これによりB2B(企業対企業)とB2C(企業対消費者)の両方のアプローチが可能になり、国内市場、国際市場の両方への展開を狙う。
(出典:いずれもNSTDA)
Ve-Seaにはフィッシュボール、フィッシュヌードル、フィッシュケーキバーの3製品がある。これらは本物の魚の食感を忠実に再現しているだけでなく、魚製品に匹敵するタンパク質を含んでいる。植物性イカ代用肉は2024年までに技術移転と発売の準備が整う予定だ。
また、Ve-Seaの製品には2種類のタイプがある。1つはグルテンフリーのもので、欧米の主要市場であるグルテン・アレルギーの消費者に対応したものだ。このタイプには大豆タンパク質が4〜8%含まれており、市場に出回っている従来の魚肉代替品と同等かそれ以上のタンパク質含量となっている。もう1つのタイプは製品のタンパク質含量を高めたものを使いたいメーカー向けのもので、8%以上のタンパク質を含み、前者のタイプのものより硬く弾力のある食感となっている。これらのVe−Sea製品は料理における魚の代用品としての汎用性に加え、コレステロールフリーのため、脂肪摂取量の抑制を目指す健康志向の消費者にも適したものだ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部