シンガポールの南洋理工大学(NTU)は8月16日、ケールの廃棄物をヘルスケア製品やパーソナルケア製品に利用し、食品廃棄物や排出物を削減する新しい技術を開発した。
植物に含まれるファイトケミカルは、体内の細胞へのダメージを防ぐことが知られており、消費者向け製品に広く使用されている。抗酸化物質やルテインなどの健康増進サプリメントや、ケールエキスを配合したフェイススクラブやヘアシャンプーなどがある。
ケールからファイトケミカルを抽出する現在のプロセスは、高温高圧を必要とするエネルギー集約的なもので、環境にさらなるCO2排出をもたらす。さらに、工業的プロセスでは1種類ずつのファイトケミカルを対象とした抽出方法にならざるを得ない。
NTUの研究者らは、野菜廃棄物を宝に変える、より持続可能で効率的な方法を模索している。ケール廃棄物を加工し、天然由来の天然深部共晶溶媒(NADES)と混合することで、自然に層状に分離し、加熱することなくケールからポリフェノール、カロテノイド、クロロフィルといったファイトケミカルを容易に抽出できることを発見した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部