Avantorはシンガポールで新たな現行適正製造規範 (cGMP)製造施設と世界レベルの品質管理ラボを披露した。地域のイノベーションとバイオ医薬品のエコシステムを強化しようとしている。(2023年9月22日公開)
Avantorはバイオ医薬品、技術応用材料製品・サービスの世界的供給企業である。同社はシンガポールでの販売事業を拡大した。Avantorは7月、最先端の製造設備と倉庫が完成したことを発表した。シンガポール製造・流通ハブ (SMDH) は、アジア・中東・アフリカ (AMEA) 全域の顧客のニーズに応え、地域のサプライチェーンを強化することを目的としている。
バイオ医薬品ビジネスは1982年に始まった。それ以来、バイオ医薬品産業は30 年以上世界的な需要を引きつけており、その世界市場価値は2028 年には7,040億米ドルに達すると予想されている。バイオ医薬品は特定の分子を標的とする能力があるため、治療の副作用を大幅に軽減させ、治療効果を高め、医療を個別化させるという大きな可能性を秘めている。
しかし、バイオ医薬品の製造や保管は容易なことではない。バイオ医薬品は複雑な性質を持つため、品質管理プロセスに細心の注意を払い安全性、品質、有効性、およびバッチ間の一貫性を確保しなければならない。原材料の品質、梱包、保管から最終製品に至るまで、あらゆる段階で補完分析試験を行わなければならない。
この地域の高品質製造のニーズに応えるため、Avantor は流通ハブを拡張し、現行適正製造規範 (cGMP) に準拠した新しい製造施設、世界レベルの品質管理ラボ、および拡張された保管能力を統合した。
この施設には、新しい cGMP準拠製造施設、バッチ間トレーサビリティ、強化された品質試験、cGMP・ISO 9001認定倉庫が含まれている。このような拡張的な機能を備え、Avantor はAMEAのバイオ医薬品のあらゆるニーズにワンストップで対応できるようになる。このハブは、地域の顧客に拡張された機能、短縮されたリードタイム、回復力を持つサプライチェーン、厳格な品質管理を提供すると期待されている。
コロナ禍の後で個別化医療が台頭してきたことから、この地域では創薬と開発の需要が高まり続けている。Avantor は新しいSMDH を得たことにより、厳格な品質基準を維持しながら所要時間を短縮し、顧客は創薬に不可欠な原材料へのアクセスを迅速化することができる。それでいながら、厳格な品質基準はすべて保たれる。
AMEA 地域全体での流通を可能にするためには、原材料を多数の規制機関で通過させる必要がある。だがAMEAの人々は多様であり、ニーズも様々であるため複雑なプロセスとなる。 これらの多様なニーズに応えるため、ハブの新しい品質管理ラボでは、さまざまな国や地域の仕様に合わせた賦形剤原料および最終製品の試験を実施できるようになっている。
さらに、AMEA に存在するバイオ医薬品エコシステムのギャップを効果的に埋めるために、Avantor は常に変化する業界のトレンドや規制に合わせ進化できる高度な機能を備えている。Avantor はさまざまな国の規制機関や世界的な保健機関の協力者とともに、絶え間ない変化に対応し、システム、テクノロジー、機能を定期的にアップグレードしている。
Avantor の AMEA 担当副社長であるクリストファー・クーチュリー (Christophe Couturier) 氏は、シンガポールはアジア全土の顧客に通じる玄関口であり、ビジネス・イノベーションと人材の中心地であると考える。
クーチュリー氏は「シンガポールは製造業界の中で世界的なイノベーション・インフラを提供し、強力な協働精神を生み出し、競争による進歩を可能にするエコシステムなのです」と述べた。
バイオ医薬品産業はシンガポールの製造業の12%以上を占めている。シンガポールとAMEA地域全体で重要な原材料とサービスへのアクセスを改善し、地域に合わせた柔軟性とカスタマイズを可能にすることで、このハブは、重要な製造業の競争力を強化する。
Avantorのバイオ医薬品AMEA担当副社長であるナラヤナ・ラオ (Narayana Rao) 氏は「Avantor では、アジア、中東、アフリカ地域の重要性を重視しており、さまざまな市場の顧客の多様なニーズを理解しています。この新しいハブは、シンガポールのみならず、アジア、中東、アフリカ地域でも製品品質と規制面の業界ベンチマークとして機能します」と話した。