2023年09月
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生理食塩水で駆動、スマートコンタクトレンズ用超薄型バッテリー開発 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は8月24日、電気電子工学部(EEE)の研究者らが生理食塩水で駆動し、人間の角膜と同じ厚さのフレキシブルバッテリーを開発したことを発表した。

(出典:NTU)

スマートコンタクトレンズは、目に見える情報を角膜に表示できるハイテクコンタクトレンズで、拡張現実(AR)にアクセスすることができる。現在の用途としては、視力矯正の支援、装着者の健康状態の監視、糖尿病や緑内障などの慢性的な健康状態にある人に対する病気の警告や治療などがある。将来的には、スマートコンタクトレンズが開発され、装着者が見たり聞いたりしたものすべてを記録し、クラウドベースのデータストレージに送信できるようになるかもしれない。

しかし、そのためには安全で適切なバッテリーを開発する必要がある。既存の充電式電池は、金属を含むワイヤーや誘導コイルを用いる必要があり、使用者に不快感や危険性をもたらすため、人間の目に使用するには適していなかった。

そこで、NTUのEEEで准教授を務めるリー・ソク・ウー(Lee Seok Woo)氏は、生体適合性のある材料でできており、既存の充電池に含まれるようなワイヤーや有害な重金属を含んでいない新しいバッテリーを開発した。このバッテリーはグルコースを主成分とするコーティングが施されており、周囲の生理食塩水に含まれるナトリウムイオンや塩化物イオンと反応し、電池に含まれる水が電気を発生させる「ワイヤー」や「回路」の役割を果たすという。

ナトリウムイオンとカリウムイオンを含む人間の涙は濃度が低いため、この電池は人間の涙からも電気を供給することができる。現在のバッテリーを模擬涙液でテストしたところ、12時間の装着サイクルごとにバッテリーの寿命が1時間延びることがわかった。このバッテリーは、従来通り外部電源で充電することもできる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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