2023年09月
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廃棄するジャックフルーツ種子から乳酸を生産、アップサイクル技術開発 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は8月25日、食品科学技術(FST)プログラムの研究者らが廃棄物となるジャックフルーツ種子から乳酸を生産するアップサイクル技術を開発したことを発表した。

(出典:NTU)

乳酸は、パン、ヨーグルト、チーズ、キムチ、ザワークラウト、ピクルスなどの製造のさまざまな段階で使用され、私たちが消費するほぼすべての食品の工業的生産と保存に不可欠な役割を果たしている。例えば、乳製品やジャム、缶詰の果物の酸味調整や、包装された肉製品の保存期間の延長などにも用いられている。2022年には、世界中で約150万トンの乳酸が製造された。

乳酸を生産する現在の工業的方法は、一般的にサトウキビ、トウモロコシデンプン、ビート糖などの原料を発酵させるためコストがかかる。また、工業的方法では石膏などの副産物が大量に発生し、適切に処理されないと温室効果ガスを放出することが問題となっている。

また、ジャックフルーツは、味も食感も肉に似ているため、肉の代用品として世界中で人気が高まっている。しかし、果実の総重量の5分の1近くを占める種子の処理に課題がある。

今回、FSTプログラムのディレクターであるウィリアム・チェン(William Chen)教授が開発した方法は、化学薬品や工程が少なくて済み、副産物の発生量もごくわずかで、不要なジャックフルーツの種を利用することで食品廃棄物を減らすことができるため、既存の工業的方法よりも安価で持続可能なものだ。廃棄物を削減する技術革新を提示したこの研究は、NTUのコミットメントを反映したもので、NTU2025戦略計画を通じて大学が取り組む、4つの人類の壮大な課題の1つである環境への影響軽減に関わるものである。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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