2023年10月
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ケトジェニック・ダイエット、抗がん療法強化と副作用の両面 シンガポール

シンガポール国立大学(NUS)の研究者が、ケトジェニック・ダイエット(Ketogenic diets)が腫瘍の成長を遅らせることを突き止めた。その一方で、消耗症候群(悪液質)を促進し、意図しない副作用として死に至る可能性があることも発見した。8月28日付け発表。米国、英国の研究者らとの国際共同研究。研究成果は学術誌Cell Metabolismに掲載された。

ケトジェニック・ダイエットは抗がん療法を強化する可能性がある一方、生命を脅かす悪液質を引き起こす可能性も
(提供:NUS)

高脂肪・低炭水化物であることを特徴とするケトジェニック・ダイエットは、がん治療の有効性を高めるアジュバントとして注目されている。これは、ケトジェニック・ダイエットにより糖を栄養源とするがんの腫瘍のエネルギー源を飢餓状態にすることで抗がん剤治療を強化し、臨床転機を改善できるのではないかという推測に基づくものだ。

NUSがん科学研究所所長のアショク・ヴェンキタラーマン(Ashok Venkitaraman)教授と、米国のコールド・スプリング・ハーバー研究所の主任研究者であるトビアス・ジャノヴィッツ(Tobias Janowitz)准教授、および米国と英国の研究者による研究グループは、実験によりケトジェニック・ダイエットが確かにがんの成長を遅らせることを示した。一方で、このような食事は消耗症候群(悪液質)を引き起こし病気の予後を悪化させることも分かった。

また研究では、強力なグルココルチコイドであるデキサメタゾンが食欲を改善し、内因性グルコース産生を増加させ悪液質を遅らせることができることも明らかにした。ケトジェニック・ダイエットとデキサメタゾンの併用で悪液質の影響を受けずに腫瘍の成長を抑制することができる可能性が示唆された。

ヴェンキタラーマン教授は「特別な食事は、がん治療をより効果的にするのに役立つかもしれません。しかし、われわれの研究から、食事介入はがん細胞だけでなく、多くの臓器系に影響を与え、有害な結果と好ましい結果の両方をもたらすことを示しています。これはがん治療における高脂肪食、飢餓食の使用に関する重大な問題提起です。食事療法による利益とリスクのバランスを完全に理解するためにはさらなる研究が必要です」と話した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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