タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は8月28日に行われた記者会見で、タイ国家人工知能(AI)戦略と行動計画の実施1年後の進捗状況について発表した。
AIは、人々の生活の質を向上させ、農業、製造業、健康、教育、観光などさまざまな分野の発展に大きく貢献する可能性を秘めている。AI開発とその応用を導くため、高等教育科学研究イノベーション(MHESI)省はデジタル経済社会省と共同で、タイ国家AI戦略と行動計画2022~2027を策定した。
記者会見では、NSTDA総裁のスキット・リムピジュムノン(Sukit Limpijumnong)博士が、AIマスタープランの発表後に達成された成果を強調した。タイ初のAI倫理ハンドブックやAI倫理に関する自己学習コースのリリース、AIガバナンス・クリニックの開設などが含まれ、これらはすべてAIの責任ある利用の促進を目的としている。
インフラ整備の面では、政府データセンター・クラウドサービス(GDCC)が設立され、政府データ保存のための中央クラウドシステムとして機能している。ASEANで最も強力なスーパーコンピュータシステムであるLANTAが稼働し、官民領域における膨大なAI研究をサポートしている。
人材面では、AIスキルを持つ労働力を開発することを目的としたAIHRD計画が承認された。これまでに、83,721人がAIのトレーニングを受け、AIの研究開発プロジェクトに12億9,000万バーツの資金が提供された。 AIスタートアップ企業には6億3,900万バーツが投資されている。AI政府準備指数におけるタイの順位は59位から31位に上昇した。
(出典:いずれもNSTDA)
記者会見では、医療AIデータ共有プラットフォームの開発に関する共同契約の調印も行われた。この開発は、NSTDA、医療サービス省、タイのマヒドン大学の3つの主要組織が、人材・制度開発・研究イノベーションに関するプログラム管理ユニット(PMU-B)からの資金援助を受けて実施する。このプラットフォームでは、医療サービス省とタイのタンマサート大学が共同開発した肺がんや結核などの病気をスクリーニングするAIパワー・ソフトウェアであるAIChest4Allなどの医療アプリケーションにおけるAIの利用を促進する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部