シンガポールの南洋理工大学(NTU)の研究チームは、脳細胞から放出される化学物質が、注意力を制御する方法の解明につながるとの新たな手がかりを発見した。9月21日付発表。研究成果は学術誌Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)に掲載された。
(出典:NTU)
私たちの注意力は、神経細胞を興奮させ電気信号を発火させるアセチルコリンという神経伝達物質によってのみ指示されていると長年考えられてきた。しかし、今回の研究では注意力にはもう1つの神経伝達物質である「ギャバ」(GABA:gamma-aminobutyric acid)が必要であることが示唆された。研究チームは、ギャバがアセチルコリンとともに正確な順序で働き、脳の情報処理ネットワークの一部である脳梁と呼ばれる部分からの信号の伝達を制御していることを初めて実証した。
研究で得られた知見は、うつ病や注意欠陥多動性障害(ADHD)など、集中力の欠如に関連する神経症状を治療する新しい治療法への道を開く可能性がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部