シンガポールの南洋理工大学(NTU)は9月13日、NTUの研究者らが発光ダイオード(LED)と市販の触媒を使用して室温条件で、ほとんどのプラスチックをエネルギー貯蔵に役立つ化学物質にアップサイクルするプロセスを開発したことを発表した。
現在、世界全体でリサイクルされているプラスチックはわずか9%ほどで、残りは埋立地に廃棄されるか、焼却されている。これは多くのプラスチックの炭素と炭素の結合が強く壊れにくいため、さまざまな化学薬品に耐性があり融点が高いことが原因となっている。
今回、NTUの研究者らが開発したプロセスはこのようなプラスチックを容易に溶解し、発電用の燃料電池や、シンガポールの水素経済化を支える液体水素キャリアーとして有用な化学化合物へと分解することが可能だ。 この技術革新により、プラスチック廃棄物問題に取り組むだけでなく、焼却によって温室効果ガスとして大気中に炭素を放出する代わりにプラスチックに含まれる炭素を再利用することもできる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部