シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、同大学リーコンチアン医学部の佐伯恭範准教授、内藤朋樹博士ら研究チームが、細胞がコレステロールを処理する仕組みについて解明したことを発表した。9月28日付。研究成果は、学術誌Nature Communicationsに掲載された。
本研究に携わった内藤朋樹博士(左)と佐伯恭範准教授
(出典:NTU)
体内のコレステロール値を正常に保ち、分布を維持することは、脳の発達や心臓の細胞の修復・維持などの日常機能を含むさまざまなプロセスに不可欠である。体内の細胞はコレステロールを産生するか、食事から摂取するかのどちらかであり、細胞内のコレステロールの適切なレベルと分布を維持することは非常に重要である。
リーコンチアン医学部の佐伯恭範准教授率いる研究チームは、人間の細胞がコレステロールを処理する仕組みを解明し、アルツハイマー病などの心血管疾患や神経変性疾患の研究に役立てることに成功した。チームは、損傷した細胞内のタンパク質の活性を調節してコレステロールをうまく調整する方法を探るため、さらに研究を進める予定であり、認知症や心臓発作を改善する治療法につながる可能性がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部