フィリピン科学技術省(DOST)は、インクルーシブ(包摂的)な職場の促進を目指し、DOSTの科学技術情報研究所(DOST-STII)が、フィリピン手話(FSL)に関する2日間のワークショップを実施したことを発表した。10月4日付。
(出典:DOST)
この取り組みは、ろう文化、基本的な手話用語とコミュニケーション、障害者(PWD)間のコミュニケーションギャップに対処するためのFSLの応用に関する知識を同研究所の職員が習得し、一般市民により良いサービスを提供することを目的としている。
手話通訳者のジョーダン・S・マドロニオ(Jordan S. Madronio)氏とろう者支援・訓練者のアイリーン・G・サントス(Aileen G. Santos)氏が登壇し、DOST-STII職員にFSLを紹介し、歌の通訳や基本的な手話を使った簡単な会話の組み立てなど、インタラクティブなセッションも行われた。
「言語は、あらゆる立場の人々を結びつける非常に強力なツールです。インクルーシブな職場環境を作るという目標に対して、私たちのコミュニティのすべてのメンバーが使用する言語を認識し、受け入れることが重要です。FSLを学ぶことは、機会均等と多様性の尊重を提唱し、能力に関係なくすべての人の声が届く職場づくりを目指すDOST-STIIの決意の証でもあります」と、DOST-STIIのリチャード・P・ブルゴス(Richard P. Burgos)局長は述べた。
フィリピンろう者通訳者登録の手話トレーナー兼評価者であるエドワード・A・ディマギラ(Edward A. Dimaguila)氏は「ろう者コミュニティには独自の文化や言語があり、聴覚障害者の従来の慣習は当てはまらないことがあります。インクルーシブな職場の育成にはこうした違いを認めなければなりません」と話した。
FSLは、共和国法第11106号(2018年フィリピン手話言語法)により、国の手話言語として承認されている。この法律は、聴覚障害者が関わるすべての取引において、FSLを政府のコミュニケーション手段として使用することを義務付けている。情報資源分析課のアラン・C・タウレ(Alan C. Taule)課長は、「手話を学ぶことは貴重なスキルであるだけでなく、包括性を育み、コミュニケーションを強化し、文化的理解を促進する手段でもあります」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部