2023年11月
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不良タイルを透水性コンクリートにアップサイクル タイ

タイ国立金属材料研究センター(MTEC) が、不良タイルを利用した浸透性コンクリート(空隙率の高い特殊なコンクリート)の製造プロセスを開発するプロジェクトを開始した。10月9日付発表。

(出典:NSTDA)

タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)の産業技術支援プログラム(ITAP)からの資金援助を受け、ケンザイセラミックスインダストリー(Kenzai Ceramics Industries)社との共同プロジェクト。

タイル業界では、不良品は総生産量の5~10%を占めている。ケンザイセラミックスインダストリーの研究チームのウィタヤ・ショーンキティクル(Witaya Shongkittikul)研究員は、このプロジェクトに参加した理由について「当社が長年にわたり蓄積してきた大量の不良タイルを活用し、環境に配慮した新製品を導入するため」と説明した。

透水性コンクリートは、降水などによる水を直接通過させることで、洪水を減らし、熱を放散させる。タイではまだこの材料は普及していないが、今後、歩道、造園、排水システムのある場所など、さまざまな用途に使用することが可能だ。不良タイルを透水性コンクリートに変えるには、タイルを所定の粒径に加工する必要があり、材料として3種類の不良タイル(素焼きタイル、釉薬タイル、天然石)が使われた。試験の結果、この方法で製造された透水コンクリートの強度、密度、透水性は、要求される基準を満たしていることが実証された。

この技術はケンザイセラミックスインダストリー社に移管され、同社は現在、市場のニーズに合った製品を設計し、生産プロセスの準備を進めている。

不良タイルを透水性コンクリートに変えることで、天然原材料の使用を減らし、持続可能性に貢献することができる。このプロジェクトは、タイの国家アジェンダであるBCGエノコミー(バイオ・循環型・グリーンを重視する経済モデル)の3本柱のひとつである循環型経済を体現するものである。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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