フィリピン科学技術省(DOST)は、フィリピンの高齢者が必要とする推奨栄養素を持つ食品を開発し、その食品が与える筋力や身体能力への影響を調べることを目的とした「PinoY (HAPPY) 高齢者のためのヘルシーエイジングプログラム」を発表した。10月12日付。
同プログラムの3つの取り組みのうち、1つ目は、GABA(ギャバ)を含むことで知られる成熟青トマト(MGT)を活用し、飲料1品、スナック菓子1品の開発だ。抑制性神経伝達物質であるGABAは、免疫系や神経系をサポートするなど、いくつかの健康効果をもたらすことが知られている。プロジェクトチームはすでに、ビスケット、チキンナゲット、皮なしロングガニーサ、トマトソースなどの食品でMGTパウダーの使用試験を始めている。また、経腸栄養剤として使用できる高タンパク飲料の開発も進めている。
2つ目は、高齢者の生活と栄養を支援する栄養ツール、ガイド、参考資料、基準だ。DOSTの食料・栄養研究所(DOST-FNRI)はフィリピン食品成分表、フィリピン食事摂取基準(PDRI)、食事計画のための食品交換リスト(FEL)第4版を作成した。FELではフィリピンの主食に相当する食品に対する情報を提供している。例えば、「コメ1/2カップはトウモロコシ1/2本、またはスーマン(サ・アイボス)1本と等価である」といったことが記されている。FELは、糖尿病、高血圧、その他の心血管疾患のような生活習慣病が問題となる高齢化社会に重要だ。
3つ目は、より健康的なコメの品種の開発だ。DOSTのフィリピン農水産業天然資源研究開発審議会(DOST-PCAARRD)はフィリピン米研究所に資金を提供し、グリセミック指数(GI)値の低いコメの品種開発に取り組んでいる。GI値が低いコメは、血糖値への影響を最小限に抑える可能性があり、特に高齢者にとっては、より健康的な選択肢としてコメを楽しむことができる。
フィリピンのレナート・ソリダム(Renato Solidum Jr.) 科学技術相はこのプログラムについて、「高齢者の健康と幸福にプラスの影響をもたらす相乗的な公衆衛生戦略の開発に向けて、DOSTが傘下の機関と相互協力した取り組みが行われていることを誇りに思います」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
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