2023年11月
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ニワトリの羽毛から廃棄物ゼロの燃料電池へ シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)はニワトリの羽毛をクリーンで持続可能な材料に変換し、廃棄物ゼロの燃料電池を作る方法を開発したと発表した。10月20日付。スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)との共同研究。

NTUのアリ・ミセレス(Ali Miserez)教授(左)と博士課程の大学院生
(出典:NTU)

研究者らは、羽毛からケラチンというタンパク質を抽出し、アミロイド線維として知られる超極細繊維に加工することで、燃料電池の重要な構成要素であるプロトンを伝導できる薄い膜を作り出した。研究者たちは、この羽毛ベースの膜を市販の燃料電池に組み込んでテストしたところ、燃料電池はLEDランプや小型扇風機、小型のおもちゃの車に電力を供給することができた。

従来の燃料電池でこのような膜を製造するには、有毒な化学物質を使用するが、今回開発されたケラチン・ベースの膜は、生物学的材料で構成され、二酸化炭素(CO2)を排出しない環境に優しいプロセスで作られている。養鶏業から出る大量の産業用鶏の羽毛廃棄物を用いることで、コストも最大3倍安く製造することが可能だという。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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