シンガポールの南洋理工大学(NTU)のシンガポール地球観測所の研究者らが、同国の海岸のような堆積物供給の多い海岸では、海面上昇を緩和できる可能性があることを明らかにした。11月2日付発表。
(出典:NTU)
約1万1,700年前に始まった完新世では、数千年にわたる海面上昇により世界的に海岸線が後退した。通常、海面が上昇すると、沿岸の低地の浸水や土地の水没が起こり、崖や海岸線などの沿岸地域は侵食され陸地の後退につながる。しかし研究チームは、シンガポールの海岸線ではそれに当てはまらないことを発見した。
研究によると、海面上昇率が現在より1ミリメートル高い、年間5ミリメートル程度の場合でも、シンガポールの南部沿岸地域は回復力を維持し、海に向かって広がっていくことが分かった。海岸周辺に堆積する土砂の量が安定して多いことが、海面上昇に対する安全装置として機能し、シンガポールの海岸の回復力の鍵となっていることが示された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部