フィリピン科学技術省(DOST)は、第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)のサイドイベントを主催し、科学技術を使って災害から国を守る方法について紹介した。
(出典:DOST)
このイベントは「犠牲者から勝利者へ:フィリピンにおける気候変動対策のためのデータ・ガバナンスの加速化」と題され、2023年12月1日に開催された。「災害には複雑な相互依存関係があるため、問題に対処するための単一の解決策はありません。政府と社会の両方を巻き込んだ包括的なアプローチが必要であり、フィリピンは災害に強い情報システムを構築・維持するための政府全体の戦略を実施する必要があります。災害は予防可能な問題です」と、フィリピンのレナート・ソリダム(Renato Solidum Jr.) 科学技術相は語った。
災害リスク軽減と気候変動の研究開発アジェンダについて、DOSTは、仙台防災枠組み(SFDRR)の行動優先事項を反映した8つの主要成果分野を特定し、SDGs(持続可能な開発目標)を反映した6つのレジリエンスの次元を特定した。DOSTは、このアジェンダを通じて、気候変動、災害リスク軽減、持続可能な開発に関するグローバルアジェンダに貢献する研究パートナー候補を奨励している。特にデジタルトランスフォーメーションに注力する予定だ。
さらにフィリピンの科学部門が主導する2つのマルチセクター共同研究が紹介された。フィリピン国防省・DOSTフィリピン火山地震研究所(DOST-PHIVOLCS)のマベリン・T・カフロガン(Mabelline T. Cahulogan)氏が登壇し、津波などの災害リスク情報を共有するプラットフォームである「GeoRisk Philippines」について説明した。このシステムを使用することで、自然災害によるリスクを軽減する方法を計画することができるという。
続いて、フィリピン気象天文庁(DOST-PAGASA)のテルマ・A・シンコ(Thelma A. Cinco)氏から洪水、地滑り、強風、高潮を対象としたマルチハザードの影響に基づく予測、早期警報システムを中心とした「マルチハザード影響ベース予測・早期警報システム」が紹介された。
(2023年12月6日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部