フィリピン科学技術省(DOST)傘下のフィリピン気象天文庁(DOST-PAGASA)と国立天文研究所(NARIT)が、マニラに6カ国の代表を集め、第13回東南アジア天文学ネットワーク会議(SEAAN 2023)を主催した。
6カ国の代表が参加した会議(フィリピン気象天文庁のFacebookから)
(出典:DOST)
イベントは「東南アジアにおける電波天文学の発展」をテーマとし、地域における電波天文学の将来と発展について議論し、加盟国間の新たな協力関係を促進することを目的としている。参加したのは、加盟国であるブルネイ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ミャンマーの代表者らである。
フィリピン代表のDOST-PAGASAのロサリオ・C・ラモス(Rosario C. Ramos)宇宙科学・天文課長は、「世界天文月間、世界宇宙週間2023などで、プラネタリウム・ショーや望遠鏡・星空観察会が行われました。メディアとの協力もあり、これまでより多くの市民に参加していただきました。現在、DOST-PAGASA傘下の2つの天文施設プロジェクトである、ミサミスオリエンタルのミンダナオ地域プラネタリウムとセブのビサヤ地域プラネタリウムも年内完成予定です」と述べた。
一方、NARITのサラン・ポシャチンダ(Saran Poshyachinda)事務局長は、2009年以来、260万人がこの研究所の恩恵を受けていることを指摘。そのうえで、「我々はチリ、米国、中国、オーストラリアでも望遠鏡を運用しており、さらに、現在では分光器やマイクロ波受信機、最先端の光学機器など、多くのものを自分たちで開発しています」と話した。彼はまた、タイにある2つの主要な研究施設、タイ国立天文台と、2024年1月に本格的な運用を開始するタイ国立電波天文台についても紹介した。
その他、インドネシアではVGOS(VLBI Global Observing System)電波望遠鏡を設置するための共同研究を中国の上海天文台と行っていることが伝えられた。またブルネイからは天文学の市民向けアウトリーチ活動である「万人のための望遠鏡」プロジェクトについての発表があった。マレーシアからは天体物理学と天文学の進展を目指した「マレーシア宇宙探査2030」プロジェクトについての発表があった。また、ミャンマーでは、基礎教育制度の変革に際し、科学科目の焦点として宇宙が取り上げられたことなどの紹介があった。
(2023年12月11日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部