2024年01月
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薬剤耐性寄生虫に機能する抗マラリア薬を開発へ タイ

タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は同国のマヒドン大学と共同記者会見を開き、P218化合物を使った抗マラリア薬開発に向けて共同研究を進めることを明らかにした。

(出典:NSTDA)

マラリアは依然として世界的な課題であり、年間60万人以上の死者を出している。現在利用可能な抗マラリア薬に耐性を持つ寄生虫の増加が問題となっており、薬剤耐性寄生虫に機能する新薬の設計が求められている。

NSTDA傘下の国立遺伝子生命工学研究センター(BIOTEC-NSTDA)は国内外のパートナーと協力し、抗マラリア薬の研究を30年以上続けている。2013年にはマラリア酵素ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を標的とするP218分子の開発に成功した。これはタイの研究者が設計・合成した初めての抗マラリア薬だ。

BIOTEC-NSTDAとマヒドン大学は共同で、動物でP218の毒性試験を行い、薬剤の有効性を評価した上で適切な投与量を予測する研究を予定している。共同研究はタイのチュラロンコン大学などの他のパートナーにも拡大され、国際規格に準拠した医薬品の開発と工業的生産プロセスを確立し、安価な抗マラリア薬の創出を最終目標とする。

NSTDAのエグゼクティブバイスプレジデントであるソンブーン・サハシティワット(Somboon Sahasithiwat)博士は、「この共同研究は、公衆衛生を強化するために科学、技術、イノベーションを活用するタイの高等教育・科学・研究・イノベーション省(MHESI)傘下の組織の協調的な取り組みを表しています」と述べた。この取り組みは、タイ政府のBCGエノコミー(バイオ・循環型・グリーンを重視するタイの経済モデル)の一環だ。

マヒドン大学のバンチョン・マハイサヴァリヤ(Banchong Mahaisavariya)学長は、「マヒドン大学はP218の可能性を認識しています。マヒドン大学創薬開発プラットフォーム(MU-DDD)を活用してタイの医薬品開発を進めていきます」と語った。MU-DDDは、MHESIの資金援助を受けて2021年に設立され、動物実験と臨床試験における大学の専門知識を活用し、上流から下流までの包括的な医薬品研究プロセスを包含したものだ。バンチョン学長は今回の医薬品開発のプロセスは約2年かかる見込みだと付け加えた。

(2023年12月18日付発表)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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