フィリピン研究会議(NRCP)のレスリー・ミッシェル・M・ダルマシオ(Leslie Michelle M. Dalmacio)会長が、すべてのフィリピン人のための食糧と栄養の安全保障を確保するために実施している科学部門の取り組みを明らかにした。フィリピン科学技術省(DOST)が1月17日付で公表した。
(出典:DOST)
近年、食料価格が上昇し、フィリピン国内の各地域で密輸やさまざまな作物の不足が報告されている。NRCPの研究者は、先端技術によって農作物を改良し、農作物の農場から市場までのプロセスを強化するために、さまざまな取り組みを行っている。「NRCPが掲げる人間の安全保障には、防衛だけでなく、健康や環境のケアも含まれます。近年のパンデミックにより、人間の安全保障の重要性が浮き彫りになりました」とダルマシオ会長は語る。
また、NRCPは、水、食料・栄養、健康、エネルギーを対象とした、課題志向の基礎研究にも注力しているという。「フィリピン全土から6,000人を超える会員に対して研究を募り、これらの分野の探求を進めます。水の安全保障、食糧安全保障、その他の調査について、地方自治体、政府部門、民間部門が採用する政策のための証拠を集めることを目的とし、調査を依頼しています」と同会長。
さらに同会長は、2023~2028年までの国の基礎研究の方向性に焦点を当て、国家統合基礎研究アジェンダ(NIBRA)の詳細を説明した。
「NRCPでは、公共の福祉に関わる問題に対処するための政策研究を行っています。流域に関するダナムプロジェクトでは、水管理戦略の設計に不可欠な記述的段階と分析モデルを統合した基礎研究を含んでおり、バギオ市の地方自治体とは、この研究結果を採用し、実際の応用に統合するための覚書が結ばれました。さらに、NIBRAの下、NRCPは他の政策、特に国内の環境と生物多様性のケアに重点を置いた政策の開発を目指しています」
シアルガオ島のデル・カルメンの動植物相に対する調査評価を行い、さらにプエルト・プリンセサ地下河川国立公園、トゥバタハ自然公園とともに、デル・カルメンをラムサール条約登録地に推薦したことなどを紹介した。実際に、プロジェクトを通じて、デル・カルメンは国際的に重要な湿地の候補となり、観光業が活性化したという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部