フィリピン科学技術省(DOST)は1月30日、国内のフィリピン人研究者たちが人工知能(AI)と3Dプリンティング技術を使った骨修復の新技術を開発したことを発表した。
フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学(AdMU)のエルウィン・P・エンリケス(Erwin P. Enriquez)博士が率いて、フィリピン保健研究開発評議会(PCHRD)が支援するこのチームは、3Dプリンティング技術を使った積層造形、AI支援設計、バイオ・ナノテクノロジーを専門とするインドのベロール工科大学(VIT)の研究者との国際共同研究を行っている。
このプロジェクトは、患者や医師が医療上の必要性と手頃な価格に基づいて最適な骨修復材料を選択できるようにすることを目的としている。3Dプリンティング技術を使って調整可能な形状の骨足場を作り、複雑な骨再生の性能を高めることで、既存の方法に代わるソリューションを提供するものだ。2年目となるこのプロジェクトでは、印刷におけるバイオセラミック前駆体材料の効果に影響を与える要因を分析する機械学習モデルを開発した。
同時に、チームはポリマー・ナノクレイ材料と3Dプリントフレームワークを探求し、強度と人体との適合性を確認している。「AIや3Dプリンティングといった革新的技術を用いることで、私たちは医療に革命をもたらし、医療の未来に貢献したいと考えています。この取り組みにより、骨に関連する課題に対して手頃な価格で実行しやすい解決策を提供することが期待されます」とPCHRD事務局長のハイメ・C・モントーヤ(Jaime C. Montoya)博士は述べた。
研究者たちは、従来の移植の限界を認識し、損傷した組織や臓器に対するより有望な解決策として、再生医療へのシフトを提唱している。2024年8月に終了予定のこのプロジェクトは、積層造形技術と加工技術の改良に重点を置き、現在の技術に比べて造形時間を大幅に短縮することを目指している。この取り組みが成功すれば、個々の患者の医療的・経済的ニーズに合わせてカスタムメイドされた多様な複合材料を外科医に提供できるようになるかもしれない。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部