2024年03月
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ミルクフィッシュの腸からマイクロプラスチックを発見 フィリピン

フィリピン科学技術省(DOST)のフィリピン研究会議(NRCP)の研究者が、フィリピンの重要な水産資源の1つであるミルクフィッシュの腸からマイクロプラスチックを発見し、マイクロプラスチックの人間への影響について研究を行っている。2月9日付発表。

(出典:DOST)

ミルクフィッシュは2020年のフィリピンの漁業水産資源局によるデータでは、ミルクフィッシュは漁業生産全体の17.9%を占め、国内総生産(GDP)に435億フィリピンペソの貢献をしている。また、フィリピンの平均的な家庭の年間魚消費量36.8キログラムのうち約10%をミルクフィッシュが占めているという。

NRCPの主任研究者であるレイ・Y・カパンパンガン(Rey Y. Capangpangan)博士はフィリピンのミンダナオ島のサンプリング地点から採取したミルクフィッシュ30個体から235個のマイクロプラスチックを確認した。この結果から、水生環境におけるプラスチック汚染のまん延が示された。マイクロプラスチックは魚の満腹感を誘発し、食欲を減退させ、正常な成長のために十分な栄養素を接種する能力を妨げる可能性があることが示されている。

カパンパンガン博士は「マイクロプラスチックを数えるだけでは十分ではありません。人体への影響を特定するために、その毒性の閾値について統一されたプロトコルが必要です」と語っている。研究チームのメンバーであるメアリー・ベス・ホープ・バンダ(Marybeth Hope Banda)氏は「マイクロプラスチック自体は本来有毒ではないかもしれませんが、他の有毒物質を引き寄せ表面にする特性があります。有毒物質が付着したマイクロプラスチックを接種すると人間の健康を脅かす可能性があります」と語る。

カパンパンガン博士は同分野の研究者と共同で、マイクロプラスチックが人間に接種された場合の影響に関する標準化されたプロトコル作成に取り組んでいる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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