シンガポールの南洋理工大学(NTU)リーコンチアン医科大学(LKCMedicine)の牧野浩史(Hiroshi Makino)助教授らは、マウスの行動実験と人工知能(AI)を用いた研究により、マウスの脳が以前に習得したスキルや知識を組み合わせて新しい問題に取り組むことを明らかにした。2月2日付発表。研究成果は学術誌Nature Neuroscienceに掲載された。
人間や動物は、以前に学習したスキルを使って新しい問題を解決する。このような複雑な作業を脳がどのように行っているのかは完全には解明されていない。牧野助教授はマウスを使った行動実験とAIで構築されたモデルの理論的分析によって研究を行った。
マウスは、最初にジョイスティックを使って目的地に向かって物体を動かすように訓練され、成功すると報酬として水を受け取った。次に、マウスは、正しい場所に移動させることで水が出る放水口を舐めるように訓練された。
(出典:NTU)
その後、マウスはそれらの課題の組み合わせとなる、ジョイスティックを使って放水口を特定の目的地まで移動させ、それを舐めて水の報酬を得る挑戦に取り組んだ。この試験に対して牧野助教授はマウスとAIモデルの神経活動を分析し、マウスが学習したスキルをどのように組み合わせているのかを発見した。
牧野助教授は「この成果は、脳がどのように学習するのかについての理解を深めるとともに、将来的にはAIモデルの改良に役立つ可能性があります」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部