シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、傘下のエネルギー研究所(ERI@N)が、気候変動や地球温暖化が再生可能エネルギーや国の電力供給に及ぼす影響を調べていると発表した。2月19日付。
(出典:NTU)
ERI@Nのクラスター・ディレクター(マルチ・エネルギーシステム&グリッド)であるシュー・イェン(Xu Yan)准教授率いる研究チームは、第3回国家気候変動調査(V3)のデータベースを活用し、気温の上昇や異常気象がシンガポールや近隣のマレーシア、インドネシア、ベトナムの水力発電、太陽光発電、風力発電にどのような影響を与えるかを調査する。
太陽光パネルや風力タービンなどの再生可能エネルギー設備は、気温が35℃を超えたり、台風並みの強風が吹き荒れたりする気象条件下では運用が難しい。シンガポールは2035年までに国内で消費するエネルギーの最大30%を東南アジアからの再生可能エネルギーで賄い、エネルギーポートフォリオを多様化させる戦略を掲げる。したがって、気候変動がこれらの再生可能エネルギーとその需要にもたらす潜在的な混乱を理解することは不可欠である。
研究チームは、気温の変化や降水量、異常気象の発生と地域における再生可能エネルギーの生産量との相関関係を明らかにし、予測モデルを構築することを目指している。予測モデルは、将来、再生可能エネルギーファームに最も適した場所と必要なインフラを決定するために必要であり、気候が変化する中、地域の再生可能エネルギーの可能性を最適化し、シンガポールのエネルギー安全保障を強化に役立つという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部