シンガポールの南洋理工大学(NTU)は3月15日、コンピュータ生成のインフルエンサーがマーケティングにおいて優れた能力を持つ一方で、他の側面では効果が限定的であることを示す研究を行ったと発表した。研究成果は学術誌Journal of Advertisingに掲載された。
(出典:NTU)
論文の筆頭著者であるNTUのウィー・キム・ウィー・スクール・オブ・コミュニケーション・アンド・インフォメーション(WKWSCI)のルウ・チェン(Lou Chen)准教授は、バーチャルインフルエンサーをフォローする人々に詳細なインタビューを行い、フォローの理由として、斬新さとエンターテインメント性が主な要因であることを明らかにした。例えば、人気インフルエンサーのリル・ミケーラ(Lil Miquela)などは、コンピュータで生成された存在でありながら、人間のような外見と個性を持ち、TikTokで360万人のフォロワーを魅了している。
チェン准教授によると、インタビュー対象者は、これらのインフルエンサーを不自然で薄気味悪いと思う反面、人間らしい欠点があり、完璧でないため親しみやすいと感じている。またバーチャルインフルエンサーは、ブランドのイメージを構築するのに適しており、先進的でトレンディなイメージを投影することで、人々のブランド認知度を向上させる役割も果たす。
興味深いことに、バーチャルインフルエンサーはブランド商品の購入にはあまり効果的ではないことも判明した。フォロワーにとって、インフルエンサーは人工的なもので、リアルな体験などを共感できる特性を欠く存在であり、親密な関係を築くことは難しいと感じていることが明らかになった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部