2024年05月
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英キャサリン妃の診断で50歳未満のがん患者の増加が明らかに シンガポール国立がんセンター

シンガポール国立がんセンター(NCCS)は4月1日、英国のキャサリン皇太子妃のがん診断に関連して、世界的に50歳以下の人々の間で特定のがんが増加していることが明らかになったと発表した。

シンガポールのがん専門家は、検診の増加による早期発見は増加傾向にあるかもしれないが、50歳未満の人は検診の年齢基準を満たしていないため、若年発症のがん診断には当てはまらないという。

NUSがん研究所(NCIS)血液腫瘍科のグロリア・チャン(Gloria Chan)博士は、「世界中で若年発症がんが増加している原因の究明は今も続いています。厄介なのは、これらの若年患者の大多数が、がんの遺伝的原因を特定できず、それ以外は若く健康であることです。1990年生まれの患者は、1950年生まれの患者に比べて若年発症大腸がんを発症する可能性が4倍も高くなっています」と語った。

BMJ Oncology誌に掲載された研究によると、1990年から2019年にかけて、若年層のがん罹患率が世界で約80%増加している。パークウェイ・イースト病院の消化器内科医であるルー・ウェイ(Lu Wei)博士によれば、女性を含む50歳未満のがん診断の世界的な増加は、過去30年にわたって観察された現象だという。「シンガポールのがん登録データは、この傾向を裏付けるもので、過去20年間、女性、男性ともに結腸直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がんの罹患率が一貫して上昇していることを明らかにしています」と、ルー博士は語った。

チャン博士は「大規模コホート観察研究のデータから、肥満や座りがちな生活習慣など、若年発症がん発症のさまざまな危険因子が同定されています。最近、他の環境曝露と若年発症がんを関連付ける論文が発表されましたが、これらは単なる関連因子であり、原因について決定的な結論を導き出すことはできません」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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