インドネシアは、石炭のガス化によるジメチルエーテル(DME)の生産を行う準備を整えたと発表した。インドネシアのポータルサイトPortal Informasi Indonesiaが4月1日に伝えた。
クリーンで二酸化炭素を排出しない環境を求める声は世界的に高まり、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)28において、炭素排出削減の推進がより鮮明になった。
インドネシアはCOP28において、森林・その他の土地利用(FOLU)ネットシンク2030(Forest and Other Land Uses(FOLU)Net Sink 2030)を達成するという具体的なコミットメントを表明した。インドネシア政府は2060年までにネットゼロ排出量を増加させる目標を達成するための重要な役割を果たす。
また、エネルギー部門における排出削減の観点から、インドネシアはエネルギーミックスの強化に取り組んでいる。エネルギー鉱物資源省(ESDM)の報告書によると、2023年の新・再生可能エネルギー(EBT)を起源とする一次エネルギーミックスの実現率は13.1%、石油に換算すると2億3,810万バレルであった。2025年にはEBTミックスの割合が23%に達する見通しだ。インドネシアエネルギー鉱物資源省(ESDM)相のアリフィン・タスリフ(Arifin Tasrif)氏は、2023年のEBTミックスの達成率は、大幅ではないものの増加したことを明かし、23%の目標を達成するためには戦略的な取り組みが必要であると語る。
EBTミックスの増加を促進する方法の1つに、石炭のガス化により生成されるDMEの利用がある。インドネシアでは、米国の石油化学投資企業であるエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals Inc)社の石炭ガス化プロジェクトの参加により、DME生産開発に合意したが、2023年3月に撤退。その1年後に、中国の東華工程科技(East China Engineering Science and Technology Co Ltd)社とインドネシアの炭鉱会社であるブキット・アサム(PT Bukit Asam Tbk(PTBA))社が石炭ガス化によるDME生産に取り組むことで合意し、DMEプロジェクトが再開された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部