ベトナム情報通信省(MIC)は4月9日、ファム・ミン・チン(Pham Minh Chinh)首相が、各省庁、地方自治体に対し、ネットワークのセキュリティと安全性を強化するための措置を講じるよう要請したことを伝えた。
サイバーセキュリティ企業のカスペルスキー(Kaspersky)社の統計によると、ベトナムの企業は2023年に1,710万件のオフラインサイバー攻撃の脅威にさらされた。これは東南アジア地域で最多である。特にランサムウェアの一種である身代金要求ウイルスが増加しているという。このウイルスに感染するとデータが暗号化されてしまい、復旧の条件として身代金を要求するというものだが、支払っても復旧するという保証はないという。この状況を考慮して、政府長官は閣僚、閣僚レベル、地方指導者にネットワークの安全性の確保を担当するよう命じた。情報システムの安全性を審査、評価し、結果を2024年4月30日までにMICに報告することになっている。
ベトナムでは過去2週間に3社がサイバー攻撃の被害に遭い大きな損害が発生している。3月24日には、証券会社VNDirect社のシステム全体がランサムウェア攻撃を受け、取引プラットフォームが一時的に利用できなくなる事件が発生し、システム再開は1週間後であった。郵便電気通信株式会社保険株式会社(PTI)も、VNDirect社のシステムへの攻撃とほぼ同時に、自社のシステムへのサイバー攻撃を報告している。さらに最近では4月2日、ペトロベトナム石油公社(PVOIL)がランサムウェア攻撃を報告し、電子請求書の発行などの情報システムに混乱が生じた。同社のシステムはトラブルシューティングを受け、4月4日に通常動作に戻っている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部