2024年07月
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AIが東南アジアの女性・平和・安全保障に与える影響を分析 国連機関

米国科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービス「Eurekalert!」は5月29日、人工知能(AI)とサイバーセキュリティが東南アジアの女性・平和・安全保障(Women, Peace and Security:WPS)に与える影響を分析したUN Women(国連女性機関)と国連大学在マカオ研究所(UNU Macau)の研究結果を紹介する記事を公表した。

この研究は、UN WomenのWPSに関するイニシアチブを通じ、豪政府と韓国政府の支援を受けて行われた。

AIは2030年までに東南アジア諸国の国内総生産(GDP)を1兆米ドル押し上げると予測されており、AIテクノロジーがWPSアジェンダに与える影響を理解することが、これらの国々におけるAI規制とリスク軽減を支援する上で極めて重要となる。

研究の成果は、2本の報告書にまとめられている。第1の報告書は、AIにおける4つのジェンダーバイアス(差別、ステレオタイピング、排除、安全の欠如)に焦点を当ててAIがもたらす機会とリスクを考察している。また、平和のためのAI、中立的なAI、紛争のためのAIという3種類のAIとその応用例に基づいてAIとWPSの関係を分析し、ジェンダーバイアスにより、女性がAIのメリットをフルに享受できない状況を指摘している。

第2の報告書は、東南アジアの女性人権活動家や女性の市民社会組織が抱えるサイバーセキュリティのリスクと脆弱性について分析している。そして、こうしたサイバー攻撃とその影響を軽減する適切な予防・対応手段を策定するために、サイバーセキュリティ政策の立案と関与において包摂的かつ協働的なアプローチを促進し、政府や市民社会等、ステークホルダーの知識を構築することを提言している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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