2024年07月
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国際標準準拠の気象予測システム発表、ラニーニャ現象対策 フィリピン

フィリピン科学技術省(DOST)は5月31日、フィリピンのマプア大学が開発し、DOSTの産業・エネルギー・萌芽技術評議会(PCIEERD)が支援する24時間365日の地域気象情報と影響モニタリングシステムであるWEHLO(局地的気象・環境・水文モニタリングシステム)を発表した。

(出典:DOST-PCIEERD)

WEHLOはフランシス・アルドリン・ウイ(Francis Aldrine Uy)博士が率いるマプア大学土木・環境・地質工学部が、DOST-PCIEERDのFASTRACプログラムにより1500万フィリピンペソの資金提供を受けた技術である。国内の既存の気象監視システムとは異なり、WEHLOのシステムは世界気象機関(WMO)が定めた国際標準に準拠している。この技術はラニーニャ現象の対策としてフィリピンの災害リスク軽減と危機管理の強化に役立つという。

WEHLOとマプア大学は2023年にDOST傘下のフィリピン気象天文庁(DOST-PAGASA)と気象データ共有に関する覚書を交わした。また同年には地方政府ユニット(LGU)とのパートナーシップを展開、確立している。

DOSTのレナート・U・ソリダム(Renato U. Solidum Jr.)大臣は「科学の進歩は、自然災害やそれに起因する災害への直接的な対応だけでなく、リスクを軽減し、持続可能な開発を促進する長期的な解決策を生み出すものであると信じています。増大する災害リスクに直面する中、従来のアプローチを超えて、よりよい明日への解決策と機械を提供するイノベーションを取り入れる必要があります」と語った。

ウイ博士は「この技術の利点の1つは、ユーザーのニーズに応じてシステムを変更できることです。システムを手動で校正し、降雨量、気温、湿度、気圧、土壌水分、風速、風向、流速、水位を含む局地的な測定値を提供することができます」と語っている。WEHLOは、災害リスク軽減と地域気象モニタリングの他に、ダム運営者や農業の農場管理に役立つ流域のモニタリングとデータ提供も行っている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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