米国科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービス「Eurekalert!」は7月24日、シンガポールの南洋理工大学(NTU)がドイツの非営利慈善財団であるディーター・シュワルツ財団(Dieter Schwarz Foundation)からの寄付により、新たな量子サイバーセキュリティ研究プログラムを立ち上げたことを報じた。
(出典:シンガポール南洋理工大学)
このプログラムは「Quantum Sovereignty and Resilience(QUASAR)」と呼ばれ、量子技術の飛躍的進歩や新たな破壊的なサイバー脅威に対応するサイバーセキュリティ技術の開発・強化を目的としている。NTUは、このプログラムに関してドイツのミュンヘン工科大学(TUM)と協力するとともに、フラッグシップ・パートナーシップの締結によりTUMとの既存の協力関係も強化する。
QUASARプログラムでは、NTUの電気電子工学部(School of Electrical and Electronic Engineering)の主導の下、量子技術を活用した暗号化の検討や量子攻撃に強いシステムの構築、将来のIoT(モノのインターネット)や5Gデバイスの安全性の確保を通じて、ポスト量子世界におけるサイバーセキュリティの強化を目指す。
このプログラムの研究分野には、量子暗号解析の研究、量子暗号解析に耐えられるポスト量子暗号の設計、量子暗号モジュールにより高度にセキュリティ保護されたハードウェアの構築、量子セキュリティモジュールをシームレスに統合できるシステムアーキテクチャとメカニズムの開発などが含まれる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部