シンガポール国立大学(NUS)は8月15日、IBM社主催のイベントIBMシンク・シンガポール(IBM Think Singapore)2024において、NUSとIBM社が、人工知能(AI)研究・イノベーションセンターを新たに設立するための戦略的協力に取り組む意向であること発表した。
このAI研究・イノベーションセンターはNUSコンピューティング学部に拠点が置かれ、IBM社のAIインフラストラクチャーと主力シリーズであるグラナイト(Granite)モデルを含めたオープンソースモデルを活用し、研究を加速させることを目指す。IBM社がアジア太平洋地域の大学キャンパスに設置する初のフルスタックAIインフラストラクチャーシステムを特徴とする。
今回の協力の意向は、シンガポールの研究とイノベーションのエコシステムが、IBM社のような業界リーダーと協力して国家AI戦略を実現するという強い取り組みを示すものである。センターは完全なAIインフラストラクチャーを備え、NUSとIBMの研究専門知識に支えられる。また、このセンターはシンガポールの学術・研究機関や企業が共同で、トランスレーショナルの可能性のある重要なAI研究を行うためのイノベーションプラットフォームとしての役割を目指す。
IBMリサーチ(IBM Research)社のハイブリッドクラウドとAIプラットフォーム担当副社長であるプリヤ・ナグプルカル(Priya Nagpurkar)氏は、「IBM社とNUSは、AIと持続可能なコンピューティングのイノベーションを実現するという共通の目標を共有しており、この協力関係をさらに進めていくことを楽しみにしています」と述べた。
NUS研究・技術担当副学長のリウ・ビン(Liu Bin)教授は、「私たちは、これまでの知見を最大限に活用するため、オープンなエコシステムが重要となる未来を描いています。今年初めに発表された新しいNUS AI研究所、そしてグリーンなコンピューティングと持続可能性に関する大学の取り組みを基盤として、AIインテリジェンスに対する業界の需要の高まりに対応し、強固な人材プールを育成します。そして、シンガポールの脱炭素化への取り組みに貢献するリーダーになることを目指しています」と今後の抱負を述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部