シンガポール国立大学(NUS)は8月19日、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)と共同で固体状態の皮膚バイオマーカーを迅速かつ継続的に非侵襲で検出できる、伸縮性のあるウェアラブルセンサーを開発したことを発表した。研究成果は学術誌nature materialsに掲載された。
NUS デザイン工学部バイオメディカル工学科のリウ・ユーシン(Liu Yuxin)助教授(右から2人目)とA*STAR物質材料工学研究所(IMRE)主席研究員のヤン・レ(Yang Le)博士(左から2人目)
(出典:NUS)
このセンサーはNUSヘルス・イノベーション&テクノロジー研究所(iHealthtech)および NUS デザイン工学部バイオメディカル工学科のリウ・ユーシン(Liu Yuxin)助教授と、A*STAR物質材料工学研究所(IMRE)の主席研究員でセンサー・フレキシブルエレクトロニクス部門の責任者であるヤン・レ(Yang Le)博士が共同で指導する研究チームにより開発された。コレステロールや乳酸などのバイオマーカーを皮膚上で直接検出できるもので、従来の血液や尿、汗を使用する方法に頼らずに健康をモニタリングするための有望な代替手段だ。これにより、心血管疾患や脳卒中などの状態の早期発見が可能になり、運動選手の乳酸レベルを効率的に監視することもできるという。
この技術は、心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患のモニタリングに利用される可能性があり、臨床試験でも皮膚上で検出されたバイオマーカーと血液サンプル中のものとの間に強い相関関係が確認された。
将来的には、このセンサーの作動時間と感度を改良し、センサーの適用範囲を広げる計画だ。また、病院との協力で臨床検証を進め、この技術を患者に提供することを目指している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部