2024年09月
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人獣共通および新興感染症予防にワンヘルス・アプローチを実行 インドネシア

インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)は8月25日、BRINと保健研究機構(ORK)が、「人獣共通感染症と新興感染症予防のためのワンヘルス研究と連携の強化」と題するフォーカスグループディスカッション(FGD)を、BRINにおいて8月26~27日に開催すると発表した。

生物多様性に富むインドネシアは、人間と動物の関係が非常に豊かだ。一方で、この豊かな関係の裏には、人畜共通感染症や新興・再興感染症の出現というリスクが潜んでいる。政府は、ヒト、動物、環境衛生政策を統合したワンヘルス・アプローチ戦略を実行することで、これらの脅威に対処することに強いコミットメントを示す。

ORKの機構長であるNLP インディ・ダルマヤンティ(NLP Indi Dharmayanti)氏は、人獣共通感染症や新たな疾病の頻度や影響の増大は多くの要因が考えられると説明する。要因の中には、グローバル化や環境変化、人間と動物の相互作用の激化などが含まれる。ワンヘルス・アプローチを通して、人獣共通感染症や新興感染症に関する学際的な研究を増やす必要性を指摘する。

「人獣共通感染症や新興・再興感染症は、公衆衛生を脅かすだけでなく、経済の安定や食糧安全保障、生物多様性にも影響を及ぼす可能性があります。人獣共通感染症や新興感染症の予防や発見、対応の改善には、学際的な研究を行うことが求められており、その対応には統合的なアプローチが必要となっています」とインディ氏は語る。さらに、より良いサーベイランスシステムと国内外のパートナーとの緊密な関係を構築していく必要性についても触れた。

獣医科学研究センターのハリムルティ・ヌラジ(Harimurti Nuradji)所長は、COVID-19、ニパウイルス、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱などの人獣共通感染症の発生は、新しい病気の予防と早期発見の重要性を再認識させたことを指摘し、「1つのFGDフォーラムに資源、知識の共有、利害関係者の協力を結集することは、より効果的な疾病管理戦略、より良い予防・管理努力の創出・開発に役立ち、地方、国、国際レベルでこれらの戦略を実施するために必要な能力を構築することになります」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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