フィリピン科学技術省(DOST)は、フィリピンと中国の研究者が開発している自己免疫疾患の迅速診断技術が12月までに完成する見込みであることを発表した。国営フィリピン通信社(PNA)が8月28日に伝えた。
DOSTのレナート・ソリダム(Renato Solidum Jr)大臣
(出典:PNA)
DOSTのレナート・ソリダム(Renato Solidum Jr)大臣は、「この診断ツールは、関節炎や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の検出に使用できます。こうした診断ツールの開発は、病気の進行を防ぐ観点から非常に重要です」とPNAに語った。
この診断ツールは、組織サンプルを使用する生体組織検査と比較した場合、血液サンプルのみを使用するため、低侵襲である。同大臣は、「診断はわずか1mlの血液サンプルで可能です。結果は数日後に判明するので、生体組織検査より早く処理できます」と述べた。
このプロジェクトに対して、DOSTと中国科学技術部(MOST)は共同で資金を提供し、それぞれ約1600万ペソを割り当てた。「このプロジェクトのために、清華大学出身のフィリピンと中国の研究者がハイレベルな研究を行っています」と同大臣は述べ、フィリピンチームは細胞外小胞科学の専門家であるジョネル・サルデス(Jonel Saludes)博士が率いていると説明した。
DOSTとMOSTの共同研究プログラムは2021年7月に開始し、ペプチド科学を自己免疫疾患の診断に活用することを目標としている。研究チームは、ペプチドと脂質分子の研究を通して、患者の血液サンプルから自己免疫疾患のバイオマーカーを調査した。DOSTによると、研究者は、診断ツールとして使用されるマイクロ流体チップの設計、製作、テストを行った。
フィリピン健康推進評議会の事務局長であるハイメ・モントーヤ(Jaime Montoya)氏は、「自己免疫疾患の早期スクリーニングは、タイムリーな介入を行うために非常に重要です」と話し、プロジェクトを通じて自己免疫疾患の低侵襲診断技術の進歩に貢献したいとの考えを示した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部