シンガポールの南洋理工大学(NTU)は9月24日、同大学の研究者らが、食品が腐ると色が変わる生分解性の食品包装材を開発したと発表した。
(出典:NTU)
開発された包装材は、抗菌性があり、微生物汚染から食品を保護することができる。この包装材には、廃棄されるアボガドやドリアン、ジャックフルーツの種子が使用されており、廃棄物の削減に役立つ。アボカドの種子には、カテキンとクロロゲン酸が含まれており、酸化を防ぎ、食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌などの有害な細菌の増殖を防ぐ効果がある。また、この食品包装材は、海産物や肉類が分解し窒素化合物が生成されると、半透明の黄色から濃い茶色に変色する。
これらに加えて、この食品包装材は、エビが変色し悪臭を放つ2日前までに腐敗を視覚的に示すことができる。この警告は食品の鮮度の監視を改善し、見た目は新鮮でも腐敗の始まった食品を食べないようにすることで、病気の回避を可能にする。
開発を主導したNTUの食品科学技術プログラムのディレクターであるウィリアム・チェン(William Chen)教授は、「私たちは、廃棄されるアボカドの種子に含まれる抗菌性や腐敗防止性のある化合物を活用し、食品の無駄を減らすと期待される新たな食品包装材を開発しました」と述べた。
包装材の開発に関与していない業界パートナーであるシンガポールの非営利団体の グッド・フード・インスティテュート・アジア・パシフィックのマネージング・ディレクターであるミルト・ゴスカー(Mirte Gosker)氏は、この開発について「廃棄物を最小限に抑えながら、安全かつ公正で持続可能な食料システムを強化することは、アジア地域において必要なことです」と所見を述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部