インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)は9月25日、東ヌサトゥンガラ(NTT)州の海岸で発生したコビレゴンドウの座礁の再発を防ぐための議論を行う、オンラインのメディアラウンジディスカッション(MELODI)を開催すると発表した。
NTT州アロールのピュアマン地区の海岸において数週間前、数十頭のコビレゴンドウが座礁した。この現象はインドネシアにおいて、初めてのことではないが、生態系の混乱を示唆している可能性がある。
オーストラリアのジェームズクック大学理工学部の研究員であるプトゥ・リザ・クスマ・ムスティカ(Putu Liza Kusuma Mustika)氏によれば、クジラは環境変化に敏感な海棲哺乳類であり、例えば、海中でのソナーの使用、水質汚染、海洋ゴミによる汚染、さらには極地において電磁気障害を引き起こす太陽嵐などがクジラを混乱させる要因になると説明する。また、病気や高齢といった要因もクジラが座礁する原因になりうると述べる。
BRIN海洋研究センターのアソシエイトエキスパートリサーチャーであるアハマド・サハリ(Achmad Sahri)氏は、「インドネシアでは、1995~2021年の期間、少なくとも26種のクジラとイルカが座礁しました」と述べ、インドネシアにおける海棲哺乳類の座礁の空間的・時間的分布パターンを理解することは、この生物群の保護活動につながると強調する。
サハリ氏らは、沿岸地域のコミュニティに対して、座礁を発見したら当局に報告し、クジラを危険にさらすような行動は取らないよう呼びかけた。また、一般市民に対しては、衰弱しているため適切な処置が必要であることから、座礁したクジラを乱暴に扱ったり、乗ったりしないよう注意喚起している。
インドネシアにおいてクジラの座礁が増加していることから、BRINはさまざまな関係者と協力しながら、座礁に関する調査研究を進めている。こうした活動の継続は、より効果的な防止策を見出すための取り組みだけでなく、一般市民に海洋生態系の保全に関する情報を提供するための取り組みでもある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部