インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)は9月30日に、「ゴールデン・インドネシア2045の目標の達成を支援するための生物資源の経済価値の向上」と題したウェビナーを開催したこと発表した。ゴールデン・インドネシア2045は、同国が掲げる長期ビジョン。
生物資源は、人間の生活や環境にとって重要な資産で、その活用は環境面にとどまらず、食料、エネルギー、健康といった分野にも広がっている。しかし、インドネシアでは生物資源の利用と管理の両面で依然として課題が残っている。本ウェビナーは、このような課題を議論するために開催された。
BRINのアマルラ・オクタヴィアン(Amarulla Octavian)副議長は、遺伝子工学やバイオテクノロジーなどに代表される構造生物学的研究などについて触れ、「この分野の研究開発は、インドネシアのさまざまな生物資源から有用な遺伝資源を見出す基盤として非常に重要です」と述べた。
また、BRIN遺伝子工学研究センターのエニー・スダルモノワティ(Enny Sudarmonowati)教授は、インドネシアの農業が、農地面積の減少、作物の生産性および栄養価の低さ、および不十分な政策といった課題に直面していると指摘した。こうした問題に対する解決策として期待されているのが、より効率的かつ正確な遺伝子操作によって作物の質と量を向上させるオミックス技術だ。エニー教授は、「オミックス技術は、インドネシアの持続可能な農業システムを構築し、食料生産の増加、栄養価の向上、作物の耐性強化に資する可能性を秘めています」と語っている。
このウェビナーでは他にも、BRIN応用動物学研究センターのシャルディン・サイード(Syahruddin Said)教授による、インドネシアの牛肉の自給力向上に向けたバイオテクノロジーの活用、同センターのブディ・レクソノ(Budi Leksono)教授による世界的なエネルギー危機、および2025年までにインドネシアが再生可能エネルギーを23%に引き上げる目標やバイオ燃料の開発の重要性についての講演などが行なわれた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部