インドネシアのエネルギー・鉱物資源省(ESDM)は、二酸化炭素排出量削減の国家戦略の一環として、バイオエタノール燃料(BBN)を含めた新たな再生可能エネルギー(EBT)の開発を継続的に推進することを発表した。インドネシアのポータルサイトPortal Informasi Indonesiaが10月3日に伝えた。
(出典:Portal Informasi Indonesia)
インドネシアは、バイオエタノール5%を混合した Pertamax Green95(E5)と呼ばれる燃料を導入し、ジャカルタやスラバヤにある75カ所のガソリンスタンドで販売している。これは、2029年までに燃料中のエタノール混合率を10%に引き上げるという政府の長期的な計画における初期段階である。
インドネシアはバイオ燃料産業の主要なプレイヤーになる可能性があるが、一方で国内のバイオエタノール開発は遅れているという。例えば、2015年のESDM省令第12号に基づき、2025年までにバイオエタノール混合率20%(E20)の燃料を開発することを目標としているが、現在の燃料はE5の段階でとどまっており、目標の達成は厳しい状況にある。直面する課題の一つは、燃料用バイオエタノールの生産基準を満たすバイオエタノール企業が少ないことである。バイオエタノール産業の発展を加速させるためには、この分野の成長を支援する政策が必要となっている。
現在、インドネシアの13社のバイオエタノール企業のうち、燃料用バイオエタノールの生産基準を満たすのは2社のみである。残りは食品用バイオエタノールの生産にとどまる。インドネシアは生産と流通の両面においてバイオエタノール産業のエコシステムを構築する必要があり、これが達成されれば、現在アイデアとして提案されているバイオエタノール燃料車へのインセンティブ制度の導入の可能性も高まる。
ESDMの新再生可能エネルギー・エネルギー保全局(EBTKE)の局長であるエンニャ・リストヤニ・デウィ(Eniya Listiani Dewi)氏は、「はじめにバイオエタノール産業のエコシステムを構築しなければなりません。インセンティブ制度の導入は後からついてくるでしょう」と発言している。バイオエタノール産業のエコシステムの構築は、産業の成長を促すだけでなく、2060年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにするというインドネシアの目標の達成に貢献すると考えられる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部