2024年11月
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熱帯気象パターンが変化、インド太平洋地域の異常気象が増加 シンガポール

シンガポール国立大学(NUS)は10月9日、NUSの研究者が主導する国際共同研究チームが、インド太平洋地域の熱波や異常降雨の頻度の増加につながる熱帯気象パターンの変化について、地球温暖化などの要因が寄与している可能性を示したと発表した。研究成果は学術誌Nature Geoscienceに掲載された。

NUSデザイン・エンジニアリング学部(CDE)のジャンマルコ・メンガルド(Gianmarco Mengaldo)助教
(提供:NUS)

NUSデザイン・エンジニアリング学部(CDE)のジャンマルコ・メンガルド(Gianmarco Mengaldo)助教らの研究チームは、最新の再解析データセットを使用して、熱帯のインド太平洋地域の変化する気象システムを分析した。「熱帯気象パターンの変化によって悪化するインド太平洋地域の異常気象」と題する発表論文では、最近提案された大気の類似性を用いた気象パターンの発生傾向を特徴づけることができる方法論を採用した。

研究チームは、1990年代以降、それまでは稀だった新しい大規模な気象パターンが出現し、以前は顕著だったいくつかのパターンはほぼ消滅したことを明らかにした。この研究は、熱帯の気象パターンの長期的な変化と、日単位の時間スケールにおける異常気象との関係を調査した最初の研究の1つである。

同助教は、「熱帯気象パターンの変化は、熱波や異常豪雨といった熱帯インド太平洋地域の異常気象を著しく悪化させています。私たちの研究は、歴史的に困難とされてきた熱帯地域のトレンドと変動の関係を初めて明らかにしたものです。私たちは、特定された気象変化が経年変動では十分に説明できないことを示し、他の要因が影響している可能性もあるものの、人為的な地球温暖化が要因として考えられることを示しました。気候モデルが信頼性の高い予測を行うのに苦労している熱帯のインド太平洋地域において、より良い情報を提供するためにはさらなる研究が必要です。シンガポールや東南アジア諸国にとって、気候予測能力を向上させ、熱帯のダイナミクスと地域の異常現象がどのように進化しているかを理解することは極めて重要です。この研究は、その方向への一歩です」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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