2024年11月
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古代の東洋建築技術を利用したマイクロ粒子の製造 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は10月15日、NTU材料科学工学部の研究チームが東アジアの歴史のある建築物で用いられる技術に着想を得て、人間の髪の毛の太さよりわずかに大きいセラミック微粒子を製造するための新たな手法を開発したと発表した。

研究チームは、この新たな方法を用いて、これまでにない複雑性や精密性を備えたセラミック微粒子を成形するマイクロ流路チップを作成した。成形された微粒子は、10本歯の歯車や角度のある三角形など、複雑な形状と正確な大きさであることが特徴で、マイクロエレクトロニクスや航空宇宙、エネルギー、医療、機械工学など幅広い分野での応用が期待される。

マイクロマシニングやレーザー焼結法などの従来の加工法は、解像度や微細で複雑な形状の大量生産に限界があった。さらに、現在の方法は、材料特性や微小粒子のサイズの問題により、鋭利で不透明な微小粒子の作成が難しい。これに対して、新しい手法は従来の手法よりも最大10倍早く粒子を生産することができ、作成されるマイクロセラミック粒子は高品質である。

マイクロ流路チップの構造は、釘や接着剤の代わりに、突起や噛み合う溝を用いたほぞ組みと呼ばれる建築技術からアイデアを得た。この構造は、紀元前1000年頃の中国の建築物に用いられ、日本の寺院や韓国の14世紀の建築物でも同様の工法を見ることができる。現在でも韓国の伝統家屋であるハノクに広く用いられており、ソウルのキョンボックン(景福宮)の建築にも用いられている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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