2024年12月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2024年12月

電子機器廃棄プラスチックを安全にリサイクルする方法を考案 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は11月13日、同大学の研究者らが、電子機器廃棄物(E-waste)のプラスチックをより安全にリサイクルする方法を考案したと発表した。研究成果は科学誌Chemical Engineering Journalに掲載された。

(出典:NTU)

電子機器はプラスチック廃棄物の最大の原因の1つとなっている。E-wasteから出るプラスチックは、有害な化学添加物を含む場合が多いため、適切に処分されないと環境汚染の要因となる。こうした汚染物質の1つに、プラスチックを耐火性にする有機臭素系難燃剤(BFRs)がある。E-wasteのプラスチックが廃棄されると、これらの化合物が環境中に浸出する。また、リサイクル時にプラスチックを加熱すると、有毒な化合物が放出される。

NTU化学、化学工学、バイオテクノロジー学部のリー・ジョン・ミン(Lee Jong-Min)准教授率いる研究者らは、E-wasteのプラスチックをより安全にリサイクルするため、 1-プロパノールとへプタンの混合溶液を用いて、キーボードやラップトップの筐体に使用されているプラスチックの一種であるABS樹脂からBFRを溶解・除去した。

この溶剤はBFRのみを溶解するため、BFRを除去した後のプラスチックの回収率は80%以上となった。この溶剤によるプラスチックの特性変化はない。研究者はこの方法により、クリーンなプラスチック回収が容易になり、E-wasteプラスチックのリサイクル率が向上することを期待している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る